エンジェル投資家が教える「これからのお金のつかみ方」とは?

大学在学中に起業し、これまで4社のバイアウトに成功。現在、エンジェル投資家として出資活動する傍ら、経営コンサルタントとして次世代起業家のサポートに力を注いでいるシリアルアントレプレナー増田裕介さんに「これからのお金のつかみ方」についてお話を伺いました。
増田:最近でいうとですね、今まさに出資をしようかどうかを悩んでいる会社があるんです。
ジップ・インフラストラクチャーといって、⾃⾛型ロープウェイを作っている会社です。
その自走型ロープウェイが「Zippar」(ジッパー)という名前なんです。
増田:例えば、駅から学校までや、家から駅までバスで通っている人がいます。
だけどバスというと、渋滞などで時間が読めないところが使い勝手の悪さです。
Zippar(ジッパー)は、都市部の渋滞解消や新興国のインフラとして期待されている自走型ロープウェイで、2025年の大阪万博での導入を目指しています。
増田:バスではなくてモノレールで行くと時間が読めますよね。
しかもZippar(ジッパー)なら「低コスト」、「自動運転」、カーブや分岐を自由自在に設けられる「自由設計」。
さらに通常ロープウェイの1.5倍の風速30m/sまで運行可能な「安全対策」という4つの特徴を備えています。今、1人乗り用までは開発が終わっているようです。
増田:だいたい資本政策のイメージだと 5 年弱くらいでしょうか。
もう今モデルでの実験はやっているので、意外に早くできるかもしれないですね。
増田:今まではお金を手に入れるなら、経営者であればIPOが主流で、会社を上場させることで創業者利潤を得ようとするやり方でした。
しかし、最近、後継者問題など様々な問題が出てきている中で、M&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収)を何とかしないといけないという危機感が、国レベルで検討されるようになってきました。
日本には現在、約380万社の会社がありますが、そのうちの7割が65歳以上の人が経営しているという状況です。
増田:実際、それらの企業では後継者不在が深刻な状況です。
赤字であれば会社はつぶれるのですが、そのうち約 3 割は黒字経営です。
経済産業省の試算では、後継者問題が解決しない場合、2025年頃までに最大約650万人の雇用と約22兆円分のGDP(国内総生産)が喪失されるとしています。
増田:地域経済の衰退や雇用喪失のインパクトが大きいことから、後継者問題は喫緊の課題として国や県、地域金融機関などが中心となってプッシュ型の事業承継支援を積極的に推し進めています。M&Aが間違いなくくると思っています。
だから「これらかのお金のつかみ方」は、会社を作ってM&Aをするのがベストなやり方だと思います。
増田:これまでと同じようなやり方をそのままやってもブルーオーシャンにはなりません。
書籍でも詳しく紹介していますが、例えば営業時間を変えてみるとか。今、深夜営業をしている美容室が流行っています。
増田:仕事が終わった後に髪を切りたいという需要が当然あります。
だから美容師さんであれば、自分で美容室を 1 から始めるリスクを抱えるのはなく、深夜閉まっているお店を間借りさせてもらって、実際にやってみるところから始めてみるもいいかもしれません。
増田:「営業する時間帯」と「ターゲット」を考えてみると、実際まだ誰もやっていない時間帯にやると実はそこにターゲットがいたりします。
増田:そうです。だから人がやってない時間帯には違うターゲットが多分いるはずです。
それをいち早くやればブルーオーシャンになります。
増田:アイデアだけなら、誰でも思いつくものです。
しかし、成功している経営者はそれを行動するかどうか、という部分で大きな差が出てしまいます。考えただけで終わってしまうのが一般の人です。
増田:ちょっとでも行動してみると全然違った景色が見えるというか、行動しないのはもったいないですよね、せっかくアイデアが思いついたのに。例えばホームページを作るだけでもいいんです。すると何か問い合わせがくるかもしれないですし、何か行動をしてみるとマーケット的に本当にこれがいいのかどうかが分かります。それをやってみるといいと思います。
増田:全然いいと思いますよ。
増田:これはときどき話すのですが、僕は実はまったく経営者になろうとは思っていなかったんです(笑)。
実は、あの……高校2年生の時に住んでいたアパートが全焼してお金がなくなるっていうことが起きたので。だから「経営者になろう」というより、「お金を稼ごう」というのが基本的な最初の目的でした。
増田:実際にお金を稼ぐのを目的に会社をやっていく中で、結局お金を稼ぐってどうやったら出来るかっていうと、相手の喜んでくれる量が結局お金に変わるっていうのがわかったので。だから相手をいかに喜ばせるかっていうこと=お金になるっていうこと。
なのでそれが性に合っていたっていうのもありますね。
増田:例えばお金を稼ぐために一番分かりやすいキーワードは、「面倒くさいの解消」だと思うんです。だから例えば買い物代行みたいなのからとか。
その面倒くさいの解消によって「Uber Eats」(ウーバーイーツ)のような大きな会社が出来上がったりもしているじゃないですか。
増田:そうですね。人材を大切にしなくていいよという意味ではなくて、基本的に人材はものすごく大事です。
だから当然、成功している経営者は、人を大切にするのですが、ただし、「人材だけに頼ると失敗しますよ」っていうのが大事なポイントです。
増田:まずは看板。会社の看板で仕事をとれることが両軸でやらないと会社はいずれ売り上げが落ちていきます。人に頼っちゃうと、人がいなくなったら売り上げが落ちます。
増田:極論をいうならば、例えば広告業界であったら、電通ですっていうだけで仕事が取れそうじゃないですか。
電通の社員の名前とかよく分からなけど、電通ですっていえば取れるのと一緒で。電通だから安心して任せられる。そのレベルまで会社の認知度と看板を育てていくのが社長の仕事です。看板作りをやりながら人材教育を両輪でやるといいですよ。
増田:基本的に、人に認知されるためにはメディア露出の回数でいえば、だいたい7回くらいです。お客さんが7回くらいそのサービスや会社名を見ると認知するといわれています。そういう戦略でプレスリリースを配信したりなどのメディア出しをずっとやっていくという感じです。
増田:もちろん「事業計画」とかいろいろ見極めるポイントはあります。
僕の場合は、最終的に「人」だなと思っていて、例えばその人に付いてくる人、経営者以外の役員のプロフィールとかをじっくり見るのですが、結局 1人で会社をやっても何もできないんで。その人の理念に「付いていきます」という人が何人いるのかな? と。そして、「どういう人なのかな?」というのを見れば、その人の「人となり」が分かります。
増田:会うのはせいぜい2、3 回くらいです。会ったときは、いろいろな質問を投げたりします。
増田:直感はないですね。かなり業界を調べます。そもそもマーケットが小さいと、投資したところで大きくなりません。そのへんはかなり見ますが、でも最終的には人ですね。
最後にこれから起業を考えている方へ、そしてスタートアップ企業として既に頑張っている起業家の方へメッセージをお願いします。
増田:今の日本の経済はコロナ禍もありシュリンクしている印象が強いのかなと思います。だからこそM&Aが今どんどん来ています。アメリカでは、M&AかIPO(Initial Public Offering:新規公開株、または新規上場株式)かで考えると、M&Aしようという人が9割なんです。IPOしようっていう人は1割しかいません。
M&Aの流れはすでに日本にも来ていて、会社をM&Aしたいという起業家が増えています。今のスタートアップの人は、会社を作るのであれば「エグジット、ゴールをどうするか?」を最初に決めておけば、目的意識もあってモチベーションも保てると思います。是非、『これからのお金のつかみ方』を読んで勉強してもらいたいなと思います。
増田:僕が運営するビジネスオンラインスクール「ROS (Riche Lab online schule:リシュラボ・ オンライン・シューレ)」では、ベンチャー企業とエンジェル投資家をマッチングするピッチイベントを主催しています。
だから、僕がどこに出資するかは、基本的に「ROS」を見てもらえれば分かると思います。

増田裕介
(ますだ ゆうすけ)
エンジェル投資家。慶應義塾大学商学部卒。
大学在学中からIT、PR、飲食、教育系のビジネスに従事。2017年には大学受験予備校「増田塾」をZ会グループにバイアウトし、現在までに4社のバイアウトを経験。
2017年3月、内閣府から公益認定を受け、公益財団法人日本教育文化財団を立ち上げ代表理事に就任、2020年には適格機関投資家として金融庁に登録される。
現在はシリアルアントレプレナーとして事業運営、エンジェル投資家として出資活動をする傍ら、経営コンサルタントとして次世代起業家のサポートに力を注いでいる。
オンラインスクールROSとは?
増田裕介氏が主宰するオンラインスクールROSでは、毎週月曜日と木曜日に経営や投資に関して学べる動画を配信している。また2カ月に一度のペースで著者も出資をしているエンジェル投資家から出資をうけたいスタートアップ企業を集めたピッチイベントも開催。
ご興味のある方は株式会社RicheLabのホームページ内にある「ROS」をご覧ください。またDMMオンラインサロンでは経営や投資の基礎を動画や記事で配信中。