コラム

金子俊之先生インタビュー #2 良い病院・悪い病院

金子俊之

とうきょうスカイツリー駅前内科 院長・医学博士 金子俊之先生

 

前回は、医師という職業や、金子先生が医師を目指した経緯などについてお話ししていただきました。

今回は、多くの人が疑問に思う「良い病院・悪い病院」について教えていただきます。

良い病院と悪い病院の見分け方

患者さんにとって「良い病院」と「悪い病院」の一番の違いは何だと思いますか?

いろいろあるとは思いますけどね。たとえば、受付の接遇や待ち時間とか……でも、患者さんが病院に来る理由というのは、心地よいサービスを受けるためではありません。あくまでも、その症状に対してきちんとした治療を受けることが目的ですので、最適な治療を提案できない病院というのが、悪い病院ではないかと思っています。あとは、専門医として不適格な医師が専門外来をやっているような病院というのも、悪い病院だと断言できますね。

 

――読者の皆さんが良い病院を見つけるためには、どうすれば良いですかね?

これは本当に難しい問題ですよね。ある意味、口コミというのも良い病院を探すための手掛かりにはなります。しかし、僕の意味する口コミとは、インターネットの口コミではなく、自分の家族や知人の実際の経験によるものです。やっぱり患者さんは医療に関しては素人なわけですから、かりに診療にかかった医師が最新の治療をできなかったとしても、真摯に話を聞いてくれる医者であったら……それだけで良い病院だと思ってしまいますよね。

もちろん、患者さんの話を聞くことは大事なことですよ。でも、いちばん忘れてはいけないことは、患者さんの病態をきちんと把握してあげて、それに対して正しい診断をして治療すること。これが医師としての本質ですから、そこがしっかりと行われているかどうかを見極める必要性はあります。

医師の更新制度がない限り、悪い病院はなくならない

――もしも「悪い病院」にかかってしまったときは、どのように対処すればよいですか?

悪い病院だと気づいた時は、必ずセカンドオピニオンを希望してください。セカンドオピニオンを希望した際、怪訝な顔をする医者だったり、きちんとした診療情報を提出できない医師だったら、問答無用でヤブ医者と判断してよいでしょう。医師だって人間ですから、時には間違うこともあります。そういった意味でも、セカンドオピニオン受けて、複数の医者の意見を聞くことはとても大事なことだと思います。

 

――セカンドオピニオンは、患者さんの権利ですしね。それにしても日本には悪い病院が乱立しているようですが、その原因は何だと思いますか?

これはやはり、医師免許や専門医の更新制度がないことが原因でしょう。僕の見る限り、医師の更新制度がないから、十分な知識をアップデートできていないケースがほとんどですからね。あとは、きちんとした専門診療なのかどうかを、正当に評価する第三者機関の存在が乏しいことも原因のひとつだと思います。

専門家などによる第三者の正当な評価がないと、患者さんはそれが悪い病院かどうかなんて、わからないまま通院してしまいますからね。

僕はいまも週に一回は大学病院で勤務していますし、普段も専門外来をやっているので、知識をアップデートできる機会はたくさんあります。でも僕も人間なので、このあと怠けてしまって、きちんとした治療ができなくなる時もくるのかもしれない……

もしもそうなった時に、自分を正当に評価してくれる人がいないのは、とても不安なことです。ですから、やっぱり専門医の更新制度はあったほうが良いと思います。

医師と患者の関係性

――先生にとって、理想的な医者と患者の関係性ってありますか?

そうですね、どちらかに不信感を抱くのではなくお互いに信頼し合って、より良い治療を築き上げていける関係ですかね。医師を妄信するのも困りますが、はじめから終わりまで常に疑ってこられますと、僕もそれを察知して怖くなってしまいます()

お互いの信頼関係がないと、いわゆるガイドラインを超えた治療はできなくなるので……本当はほかにいちばん良い治療があると思ったとしても、訴えられるのが怖くて保身的な治療しかできなくなるわけです。それって、患者さんにとっても不利益なことですよね。だから、ある程度は信頼して任せてほしいという気持ちもありますが、一方で、信頼に足らない医師が多くいるのも現実ですから、そのバランスが難しいですよね。

 

――では、患者さんの立場から見て、良い医師と悪い医師との違いは何だと思いますか?

患者さんの立場からいうと、親身になって話を聞いてくれる医師が良い医者だと思うのかもしれません。確かにそれは医師としていちばん大切なことですが、患者さんの中でも、外来で1時間以上も自分の症状の成り立ちとか、考えを語る方も多くいらっしゃいます。
話を聞かない医者は論外ですが、話を聞くだけで最新の知識をアップデートせずに最適な治療を行えない医者も良い医者とはいえません。ある程度患者さんの話に傾聴しながらも、治療方針などを簡潔に述べられて、最善な治療をスムーズに提供できる医者が良い医者であると僕は思います。

 

――最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。
信頼に足らない医者も多くいると言いましたが……ただ一つだけ言えることは、すべての医者が目の前の患者さんを良くしたいと思って治療をしていることだけは間違いありません。でもその治療が時代遅れだとすれば、それは医師としての資格を十分に満たしているとは言えないですよね。患者さんのことを本当に良くしてあげたいという気持ちはご理解いただいた上で、「いい医者と悪い医者」「いい病院と悪い病院」というものを見極めていただければ、と僕は切に願っております。

 

次回に続く

■インタビュイー■
金子俊之 先生
(かねこ としゆき)

とうきょうスカイツリー駅前内科 院長・医学博士 

​​​​​​平成281月に「とうきょうスカイツリー駅前内科」を開院。

風邪や高血圧、糖尿病などの一般内科に加えて、

専門性を活かした関節リウマチ・膠原病の治療を行う。

現在も順天堂大学医学部膠原病リウマチ内科にて非常勤助教を兼任