コラム

金子俊之先生インタビュー #4 新刊についてー他力本願ではだめー

とうきょうスカイツリー駅前内科 院長・医学博士 金子俊之先生

 

ヤブ医者を見分けるバイブルである金子先生の新刊。

今回は、その内容により深く迫ります。

医者の「ウソ」を見破るためには(続)

――「整形リウマチ科」というのは、リウマチ専門医ではないのでしょうか? 看板にそう書かれていたら、そう思ってしまいますが。

標榜通りのちゃんとしたクリニックももちろんあります。ただ、僕の主観としては、ほとんどの整形外科リウマチ科というのは、リウマチ科を表号するに値しないと思っています。リウマチ科というのは、昔は治療法があまりなかったので結局、ステロイドとか痛み止めを使うしかなかったですし、変形するのはあたりまえで、そしたら手術をしようね、という話でした。だから、整形外科が片手間でリウマチ科も一緒に診ていたんですね。

でも最近は、免疫抑制剤や生物学的製剤を使うことで、変形する方はほとんどいなくなりました。なのに、いまだに医療知識がアップデートできていないせいで、昔の治療法でやっているヤブ医者が多く存在します。あと、膠原病もリウマチ科に含まれるわけですから、厳密にいえば、リウマチ以外の膠原病も診れないと、本来はリウマチ科とは言っちゃいけないわけです。

 

――患者さん自身がちゃんと医療知識を積んでおかないと、あとで取り返しのないことになりそうですね。必要以上に来院させる病院についてはどうでしょうか?

これについては、ケースバイケースだと思っています。もちろん患者さんの病状が安定していることが条件で、短い期間でフォローを強くご希望されている場合は、短い期間になります。でも、短いフォローを求めてはいない場合は、比較的長い期間、1か月~3か月くらいの診断が通常です。なのに一部の診療科では、「国の決まりで2週間以上のお薬を出すことはできないから!」なんて平然と嘘をついて、患者さんを必要以上に来院させています。営利目的以外のなにものでもないわけですよ。

 

――怖いですね……。では、テレビでもよくある、例えば「○○を食べたら癌が治る」だとか、極端な事を言うお医者さんについては、どうでしょうか?

例えば、抗がん剤は絶対にだめだとか、サプリは絶対ダメだとか、あるいは今の現代医療は絶対ダメで、サプリだけを飲めば全ての病気は治る、なんてことを言う医者もいますが、それらは100%間違いです。

サプリも場合によっては必要ですし、抗がん剤も状況に応じて必要です。日本の社会保障を利用した医療というのは、過去よりきちんとしたビデンスに基づいて、医療を行っているため信頼に値します。それなのに、それを無視して極端なことを言う医者なんて絶対に信用しない方が良いですよ。

 

―――では、検査数値のみで病名を判断する医者についてはどうでしょうか?

そもそも医者の仕事とは、検査数値だけでなく、全ての要素を複合的に見たうえで、治療を決めるものです。それを検査数値のみで判断したり、つの検査数値に固執したりするというのはあり得ません。例えば、80歳くらいのご高齢者で心筋梗塞の既往がない、という方であれば、LDLコレステロール値が145だったとしても、僕ならお薬は必要ないと考えます。一方で、50代の男性で、脳梗塞心筋梗塞があって、LDLのコレステロール値が130140の場合は、もっと厳格にコントロールしたほうがいいわけです。数値だけで判断するのであれば、小学生にもできますからね

 

――たしかに。あと、最近は咳が続いているからといって「喘息」扱いするお医者さんも多いと聞きますが……

風邪をひいたあとに咳が長引くからといって、これを「喘息」だと誤解する医者がとにかく多いです。一度喘息と診断されてしまうと、MRIなどを解読するために必要な造影剤が使えなくなります。検査によっては造影剤を使わないと見えない部分が多いので……これにはかなりのリスクが伴うわけです。あと最近、週刊誌で話題になった大人喘息というのは、そもそも普通の喘息とは違いますし、あれは「咳喘息」のことです。それに、大人になってから喘息を発症するケースって、ほとんどないですからね。

ヤブ医者を見破るための施策

――安易な診断のせいで、検査に必要な選択肢の1個がなくなるということですよね。ヤブ医者を回避するために、私たちは一体どんな防衛策をとればよいでしょうか?

この検査だけやっておけばオッケーとか、このお薬だけ飲んでおけばオッケーということはまずないです。僕の本ももちろん参考にしていただきたいのですが……それ以外でも様々な書籍や信頼できる専門医の本の情報に浅く広く触れていただいて、情報をしっかりと精査するための力を身につけてほしいと思います。身近に信頼できる医療機関だとか医師の方にも相談してみるのも良いと思いますよ。

 

――他力本願ではいけませんね! 最後に読者の方にメッセージをお願いします。

僕の本が、皆さんにとってヤブ医者を見極めるための一助になれば幸いですので、是非、ご参考にして頂きたいです。ただ、前述のとおり僕の本だけが全てではないので……それ以外にも様々な情報をなるべく多く吸収して、きちんとした医療情報を見極めていってほしいです。最終的に自分のカラダを守れるのは、自分自身にほかないわけですから……

 

(終)

■インタビュイー■
金子俊之 先生
(かねこ としゆき)

とうきょうスカイツリー駅前内科 院長・医学博士 

​​​​​​平成281月に「とうきょうスカイツリー駅前内科」を開院。

風邪や高血圧、糖尿病などの一般内科に加えて、

専門性を活かした関節リウマチ・膠原病の治療を行う。

現在も順天堂大学医学部膠原病リウマチ内科にて非常勤助教を兼任

著者名
金子俊之